元無職の受験無双

親に騙されて大学に3つ通った末に予備校講師になってあまりの詐欺っぷりに嫌になってやめた筆者が、受験の表も裏も混ぜこぜにしてただ1つの正解=ド正論を吐き出す場。受験以外の話もします。

医学部志望生にオススメの参考書を1冊、と問われたらこう答える

とりあえずWHOの健康の定義が言えない自称医学部志望生は全員リンクを見てから出直してくれ。

japan-who.or.jp

医学部生はSpiritualが先、偏差値は後

これは受かる医学部生、受からない医学部志望生を見比べていて強く感じること。

心が鍛えられてない自称医学部志望生は何年やっても基本的に受からないと私は思ってます。
特に偏差値が足りないところから受ける人、再受験の人はそう。

予備校をやってると月に1回くらい、「再受験を考えてるんですが自分の受験から方式も変わってるし、何から始めたらいいかわからなくて……」みたいな自称医学部再受験生が相談に来るんですよ。

ハッキリ言うけどさぁ。

あらゆる予備校や文科省や、さらに大学がクッソわかりやすくまとめてくれてるサイトがごまんとある現代においてよ。

「何から始めていいかわからない」とか言ってるリテラシー意識の時点でお前は絶対受からない。本人には言えないけどさ。

医学部受験の一般入試において面接試験が通過儀礼にしか過ぎずほぼ点数差がつかないことはもうちょっと知られるべきだと思いますが、
(医学部は面接対策が重要!!みたいなことを書いてる予備校がいっぱいありますが、あれは面接対策講座(有料)を取らせるために不安を煽ってるだけで、実際はほとんどの医学部面接は受験生がサイコパスじゃないか確認してるだけです。)

不思議なことに、面接では点数差がつかないにもかかわらず、集団面接だと自分以外に誰が合格するかわかっちゃいます。

そのくらい、「こいつは受かるな」っていう言動をする受験生は、実際に勉強もできてるということですね。

参考書なんてなんでもいい。だから……

逆に言えば、医師としてのSpiritualが身についてる受験生がいるなら、そいつは何を使っても受かります。

あえて言うなら以前記事にした通り、一番テキストの質が高い大手に行っとけってくらい。

saiohorse-livin.hatenablog.jp

だからオススメの1冊と言われたら、教科の学習じゃなくてSpiritualを鍛えるための1冊になります。

Spiritualを鍛えるっていうと宗教っぽいけど別に宗教じゃない。

19歳の君へ―人が生き、死ぬということ

 そんなわけで私が医学部生に1冊参考書を勧めろ、と言われたら圧倒的にこれです。

点数より大事なSpiritualを鍛える上で、これほど素晴らしい1冊はない。

19歳の君へ―人が生き、死ぬということ

19歳の君へ―人が生き、死ぬということ

 

著者、というか編者なんですが、は、日本の緩和ケアの父である故日野原重明先生。 

治療先進国でありながらケア後進国である日本において、医学部や看護学部の1年生に対し、先生方が「全人的医療」を語った講演集となります。

これが2008年刊行で、2021年現在未だにこいつを医学部受験生に勧めなきゃいけないっていう事実が、いかに日本が先進国の皮をかぶった医療後進国であるかを物語っています。

お医者さんになりたい人は口をそろえて「人を助けたい」とおっしゃるわけですけど、人を助けることができる医者っていま世の中にどれだけいるの?っていう話。

ほとんどのお医者さんは、助けるなんて大げさじゃない日常的なケアをするか、逆に「もういつ死んでも」と家族にすら思われてる方に対して、割り切って治療行為を行っているのが現状です。

医者に対し「治す」というイメージが先行している限り、日本の医療は良くなりません。

ましてその先頭を走ろうという医学部受験生が、医師=治す、だと思ってるようじゃダメだよってことです。

医療系学部が受験生に一番求めていること

特に医学部医学科の受験において私がコアだと思っているのは、

世の中のあらゆる価値はイチかゼロかじゃ決まらない ということを当然の価値観としてっ持っているか

ということです。

昨今世を騒がせているコロナウイルスを例にとるとわかりやすいかな。

コロナウイルス対策に見る、医療者としての「中道」

治療法が少なく悪化したら死が免れないからコロナは怖い!

という意見と

コロナは感染率・致死率どちらも風邪に毛が生えた程度だ!

という意見。

世の中には、どっちかにしか天秤を傾けられない人が多くいます。

だから「マスクを外そう」とか声高に叫ぶ頭のおかしい人や、

健康食品の100倍怪しい感染対策のまがいものに何万円もかけるやっぱり頭の悪い人がたくさん出てきてしまうんです。

実際、有識者の間でのコロナウイルス対策への正解はこの1年半でほぼ出ていて、

感染リスクは低いので個人でできるレベルの対策は怠らず行う。
しかし、持続的な社会活動を妨げることはリスク比でマイナスになるため、特に感染リスクの低い若年層は過度な自粛を避ける。

ですよね。

この当たり前のことが理解できない人が、世の中にたくさんいる。

というか、私たちっていったん「Aがダメ!」と思ってしまったら「じゃあBが正解だ!」がついてきがちですよね。

そこでちゃんと一歩引いて、AB両者の立場から、もっとも利益が最大化し、不利益が最小化する道を探す。

これをいわゆる「問題解決能力」と言うのですが、医療の世界では特にこういったバランスのいい問題解決能力が求められていると思います。

有名な医療者だと例えば高須クリニックの高須院長なんかは、すごくバランス感覚のよい方だと私は思ってます。

まぁいろいろ言ったけど日野原先生の本を読んでくれ

いろいろ言ったけど結局この本を読んでくれ、に尽きる。

19歳の君へ、は日野原先生自身のことばが少ないので、これを読んで医療のケア領域を知りたくなったら日野原先生のほかの書籍も読むといいし、ほかにもケア領域について啓蒙的な書籍はいろいろある。

『死をどう生きたか』は今後の医療が立ち向かう問題そのものだし、

死にゆく患者(ひと)と、どう話すか

死にゆく患者(ひと)と、どう話すか

  • 作者:國頭 英夫
  • 発売日: 2016/10/24
  • メディア: 単行本
 

『死にゆく患者(ひと)と、どう話すか』も、医療-患者という目線をド正面から教えてくれる。

 

こうした医療者としての"目線"をまず与えてくれる書籍から学び、

医療者としての目線を持つように努めて日々を過ごし、

見え方が変わった世界に対して自分がどう生きるのか、

それを医学部志望生たちには考えてほしい。

 

そうしたら、患者のために死ぬほど必死に働くのが当たり前なんだから、今やってる受験勉強なんて死ぬ気でやって当たり前だと思えるよ。

そう思えたとき、あなたはちゃんと受かります。

 

がんばりましょう。