英熟語を「覚える必要がなくなる」 正しい英語へのアプローチ方法とは
みなさまこんにちは、元無職です。
このブログは親に騙されて大学に3つ通った末に予備校講師になってあまりの詐欺っぷりに嫌になってやめた筆者が、受験の表も裏も混ぜこぜにしてただ1つの正解=ド正論を吐き出す場です。
予備校時代からずっと思ってること。
英語の勉強法、派閥多すぎない?
……というのも、日本の英語教育が(タテマエは別として)実践教育からかけ離れて久しいからなんですね。
そもそもの教育が王道じゃないから、派閥がたくさんできてしまう。
それが日本の英語教育の実態です。
そもそも、中学(最近の子は小学校)~高校までで、カタカナ英語の「ジャパリッシュ」じゃない英語の先生って、何人いましたか?
私はゼロ人です。
ていうか、英語がちゃんと喋れる先生に会った経験がゼロだという人が普通で、「マトモな」英語の先生に会ったことのある人は幸運だと言えるんではないでしょうか。
こうしてみると、これだけ入試必須科目でありながら、英語はまだ教育体制自体が整ってない科目なんですね。
さて。
今日はそんな英語から「熟語」のトピックを取り出します。
なぜ熟語なのかというと、現状ある英語教育の中で、一番意味不明なトピックだからですね。
私は英語に「熟語」というものが存在するという認識をしたことがないですし、結論から言えば英熟語なんて一切勉強する必要がないと思います。
今日は、その理由を順番にお話しすると同時に、
「なぜ日本人は『熟語を覚えなくてはいけない』と思いこまされているのか」
そして、その結果見えてくる
「現状の日本の英語教育の弱点と、それを補う正しい勉強法」
についてお話していきます。
[目次]
- 熟語は本来、連結した意味のつながり
- 単語帳による間違った勉強の仕方が英語本来の理解を妨げている
- 「パズル英語」の被害者がハマる非効率の沼
- 熟語を「覚える必要がなくなる」 正しい英語へのアプローチ方法
- コアイメージを大切にする英語学習の具体的手段
- 熟語不要論の筆者が唯一薦める、コアイメージ育成のベストセラー
熟語は本来、連結した意味のつながり
中学~高校英語で習う英熟語は、ざっくり1000-1500くらいと言われています。
というか、まぁだいたいどの熟語帳もそのくらいの数でまとまっています。
受験において、熟語は単語と並行して学習することが当たり前みたいに言われていますが、私はここに強い違和感があります。
私自身は受験生のころから一番の得意科目は英語、センター試験くらいなら毎回ほぼ満点が取れるくらいの成績でしたが、熟語の勉強を必要だと思ったことはほとんどありません。
(唯一覚える必要があるなと思った熟語はtake advantage of ~ 「~を利用する」だけです)
ちょっと手元にある「システム英熟語」を開いてみましょう。
最初の熟語が
A come about 「Aが生じる・起こる」
bring A about 「Aをもたらす・引き起こす」
となっています。
これ、覚える必要ありますか??
aboutは「周辺に」という意味を持った副詞・前置詞です。
aboutを「約」とか「~について」と覚えている人は、come about と聞いてもしっくりこないかもしれません。
しかし、aboutが「ものの周辺領域をざっくり表す」とわかっている人なら、
「come about」=そこらへんにじわじわやってくる=「生じる」
という訳を思い浮かべることが可能です。
この「about」=「ものの周辺」というざっくりした単語自体のニュアンスのことを、コアイメージといいます。
日本の英語教育が英熟語なんていうワケワカラナイものを持ち出しているのは、本来やるべきコアイメージの教育・習得を怠り、間違った方向に進んでいるからにほかなりません。
単語帳による間違った勉強の仕方が英語本来の理解を妨げている
英語の勉強がコアイメージをベースに行われていない原因は、間違いなく一対一対応の単語帳とそれをベースにした教育のせいです。
例えば同じ「is」でも
This is a pen.
は義務教育を受けた方なら99%は訳せるでしょう。
でも、
God is.
を訳せる人はかなり少ないです。受験生ベースだと1割もいないんじゃないでしょうか。
意味は
「神はいる」
です。
要するに、日本の教育は「is」に対して「~です、~ます」しか教えないんですよね。
こういう風に、日本の英語教育は「この単語はこうだよ」と教えて、答えが一対一対応しているパズルみたいなものとして英語を教えるわけです。
先述のaboutだって、だいたいみんな最初に「約~」という数に関する意味を覚えさせられて、次に「aboutは『~について』という意味もあるよ」と教えられたんじゃないでしょうか。
私もそうです。
でも、それって実はabout自体について何も教えてないんです。
だから、aboutを「ものごとの周辺領域」と覚えてれば改めて覚える必要のない「come about」や「bring about」を、学生たちは改めて覚えさせられるわけです。
……こんな勉強、意味ないと思いませんか?
そして、そういう非効率的な勉強から脱却したら、英語の勉強に必要な時間が今より圧倒的に減ると思いませんか?
「パズル英語」の被害者がハマる非効率の沼
だから予備校にいたころ、まぁ私は英語が得意科目なのでよく英語の質問を受けるわけですけど、
「なんでここはこう訳すんですか?」
系の質問がめちゃくちゃ来るんです。
で、その質問が来る理由はただ1つ。
英語をパズルだと思って読んでいるから、パズルのピースが合わないときにどうしたらいいのかわからなくなる。
よくいるじゃないですか。
「単語・熟語や文法はしっかり勉強しているのに、長文になると解けない」
みたいな人。
断言しますけどこの症状の人は100%、英語をパズルだと思ってます。
それで、
「単語帳に載っていた訳では長文が読めないから、もっと1単語あたりたくさんの意味を覚えなきゃいけないんだ」
という非効率の沼に落ちていくんです。
もう100回くらい言ってますが受験勉強は効率化が全てです。
非効率の沼に落ちた瞬間、あなたは負けます。
熟語を「覚える必要がなくなる」 正しい英語へのアプローチ方法
英語教育における非効率の沼についてはまた記事にしようと思うのですが、さておき。
ここまで見てきた通り、英語の学習でもっとも大切なのはコアイメージの把握です。
いま例に出した「is」ならば、「述語を形成したり、主語の存在を示す」がコアイメージ。
みんなが最初に習う一般動詞「have」。訳が多くて混乱しますよね。
でも、コアイメージである「なにかを自分に"belong"させる」ということだけ覚えておけば、ほぼすべての訳に対応できます。
ペンや本など、手に持てるものを自分にbelong=所属させたら、それは「持つ」。
兄や妹が自分にbelongしている=私と同じ家族にbelongしている=兄や妹がいる
食べ物が私にbelongしている=食べる
といったようにです。
最初は少し難しいと思います。
なぜなら、普通の人は英語の学習において、単語と意味が一対一対応するのが当然のように刷り込まれてきているからです。
でも、このやり方は極めて非効率で、何より「言語の正しい習得」という観点で誤っています。
ですから、この記事を読んだ方は、なるべく早く、努力しながら「コアイメージを主体とした英語学習」に切り替えてほしいと思います。
見える景色が変わるレベルで英語の読解力が上がります。
コアイメージを大切にする英語学習の具体的手段
具体的な学習方法についても触れておきます。
コアイメージを習得するのに最も良いのは、常に辞書を参照しながら学習することです。
いまどき受験レベルの英語辞典なんて買う必要はまったくありません。
Web上に無料の翻訳サービスがいくらでもあるからです。
私自身はWeblio英語辞典のサイトをブックマークしています。
操作性が軽いわりに載っている用例が多いので愛用しています。
ただ、毎回毎回英語辞典を引くのは、特に英語に慣れていない人には難しいかなと思います。
最初はしっかり単語帳で勉強をする
→長文の中で調べたい単語が5%以下になったくらいでWeb辞書学習に切り替える、というのがよい学習法です。
コアイメージを大切にする英単語の勉強法
さて、コアイメージを大切にすると、英単語の勉強法も変わってきます。
私もよく生徒に「英単語帳は何番目の意味まで覚えるべきですか?」と聞かれたものですが、結論から言えばそんなこときわめてどうでもよいです。
そうではなく、例えば……
「システム英単語」を開いてみましょう。
No.1の単語はこうあります。
follow
①~(の後に)続く ②(指示・方針などに)従う◆as follows 「次のように」
◇following [形]次の、以下のような
◆A (be) followed by B 「Aの次にBが続く」
そして、「MINIMAL PHRASES」には
follow her advice 彼女の助言に従う
となっています。
これを見て、「follow=続く、従う」という覚え方だけは絶対にするな
、というのが今日の主旨になります。
受験単語帳はわりとよくできています。
ここに載っているだけの情報をしっかり読んでおけば、followという動詞のコアイメージが「(同意をもって)(物理的もしくは概念的に)あとに続く」ことだとわかる、いや、わかるまで読んでください。
◆や◇の注釈についても、このコアイメージを覚えていれば、当然のこととして読めるので覚える必要がありません。
そして当然、「続く・従う」という赤字の訳も、このイメージさえ持っておけば出てきます。
コアイメージを大切にする英語の学習では、このように単語の意味や派生をすべてチェックした上で、自分なりで全然かまわないので単語に対するコアイメージの解釈を持つことが大切です。
単語帳自体は正直何を使ってもいいのですが、
①訳や派生がしっかり載っている
②例文がついている
の2点を満たしているものが良いです。
個人的には、このミニマル・フレーズが「軽く単語のイメージをつける」という点で役立つのでシステム英単語を推しています。
なお、みんなこっちからやりがちですが、普通に英語が苦手ならBasicから始めましょう。
Basic卒業の目安は偏差値60くらいですかね。
なんか参考書を売りつけたい連中はレベル高めのものを使わせたがりますけど、偏差値60程度のレベルでは、システム英単語の後半の単語をやったところで勝負にならない(そこより手前レベルの出来で勝負がついてしまっている)ことがほとんどだと思います。
そもそもちゃんとコアイメージで単語の理解ができてれば、単語帳の冊数・難易度はそんなに要りません。難読単語が読めなくても文章は普通に読めるんで。
あとはターゲット英単語もよく売れてますが、どちらでも構わないと思います。
ただ、ターゲットシリーズはアプリ版があるのでそっちを買いましょう。
※検索すると出てくる「ターゲットの友」は使ってみましたが正直微妙だと思います。
物書堂の英単語アプリで個別に買う方がオススメです。公式には勝てないんだよなぁ
いずれにせよ、現状紙媒体でターゲットシリーズを買うメリットは特にないと思いますね。
あとは、例文・派生が豊富という点では鉄壁も非常に良いです。
ただまぁこいつはボリュームがありすぎるので、やり切れるかどうかという問題が残ります。
熟語不要論の筆者が唯一薦める、コアイメージ育成のベストセラー
最後にこちらを紹介します。
というか今回の記事を書くきっかけになった本ですね。
英語学習において熟語は一切不要、ということは私がずっとモヤモヤ感じてたことなんですが、私のモヤモヤを見事に言語化してくれていたのがこの本です。
英熟語図鑑
学習書のベストセラーになったシリーズなので、書店等で見かけた方も多いことと思います。
「コアイメージ」とはその言葉通り、イメージで捉えた方が効果的です。
熟語図鑑は各前置詞や動詞を色分けとともに画像で紹介してくれていて、テキトーに読みながらイメージをつける、という学習に適しています。
例えば単語帳のようにこれをしっかり習得してくれ、ということではなく、私としては勉強の合間にパラパラめくってもらって、なんとなく見覚えのある知識を増やすような使い方をしてもらうといいと思います。
Kindle版もありますので、それこそiPadとかに入れて通学中とかに読むといいんじゃないでしょうか。
余談:事故防止でもし1冊だけ持っておくならこれ
これで終わろうかと思ってたんですが、一点忘れてた……
私がtake advantage of だけ覚えたって話は最初にしたと思います。
そういう風に、「コアイメージからちょっと遠くて覚えにくいけど、覚えてないとそれが原因で負ける」レベルの単語・熟語ってのは確かに存在します。
なので熟語の勉強は、一応最低限やっておくといいですよ、ということでもう1冊だけご紹介。
「合格英熟語300」です。
最初に受験英語の熟語は1000-1500と言ったんですけど、ちゃんとコアイメージで学習できてれば、丸暗記しなきゃいけないフレーズは300あるかないかですよ、という一冊ですね。
(個人的には300すら覚える必要もないと思いますが)
ここに載ってるレベルの熟語がわからないとワンチャン偏差値40の大学にも落ちますので、ディフェンス強化の意味で持っておくといいと思います。
というか受験参考書って、薄ければ薄いほど基本的にいいんですよね。
勉強法の話ともつながるんですけど、でかい参考書は満足度ばっかり高くて学力に繋がらないんで。
ちなみに今回の記事は↓の勉強法の話を大前提にしてるので(復習の仕方とか)、まだの人はこちらも読んでみてください。
ということで今日は熟語のお話でした。
熟語というか、熟語に端を発する英語学習のそもそも論ですね。
皆さんも日本のクソみたいな英語教育に騙されずに、正しい言語習得学習をしてくださればと思います。
では、ご読了ありがとうございました。